「モバイルバッテリーはとりあえず安いものでいい」と思っていませんか。実はこのジャンル、国土交通省が2025年7月と2026年4月の2段階で機内持ち込みルールを変更しており、知らずに空港へ行くと持ち込みを断られたり、機内での充電で航空法違反になったりする可能性があります。さらにNITE(製品評価技術基盤機構)や消費者庁は、リチウムイオン電池の発火事故について繰り返し注意を呼びかけています。

この記事では、Anker・CIO・エレコム・Belkinという信頼できるメーカー5機種を、容量帯(10,000mAh/20,000mAh)で用途分けしながら比較します。ノーブランドの激安品は対象にしていません。まずは「知らないと空港で困る」機内持ち込みの新ルールから確認していきましょう。

結論:こんな人にはコレ 早見表

  • 出張・旅行でとにかく大容量が欲しい → Anker PowerCore Essential 20000 PD 20W(20,000mAh・PD20W)
  • ノートPCまで急速充電したい高出力派 → CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS(20,000mAh・最大67W)
  • 薄型・軽装備で10,000mAhを持ち歩きたい → CIO SMARTCOBY Pro SLIM SS
  • コスパ重視で日常使いの1台が欲しい → エレコム DE-C28-10000BK
  • 軽さと3ポートの使い勝手を両立したい → Belkin BOOST↑CHARGE 3ポート 10000mAh(BPB011)

【重要】機内持ち込みの新ルール(2026年4月24日から適用中)

モバイルバッテリーの飛行機持ち込みルールは、ここ1年で2段階に分けて変更されています。すでに施行済みのルールなので、次回のフライト前に必ず確認してください。

基本ルール:預け入れ禁止・Wh基準

  • モバイルバッテリー・予備電池は受託手荷物(スーツケースなどへの預け入れ)は禁止。必ず機内持ち込みにする必要があります。
  • 160Whを超えるものは持ち込み自体が禁止です。
  • Wh(ワット時)は「定格容量(Ah)×定格電圧(V)」、またはmAh表記なら「定格容量(mAh)×定格電圧(V)÷1,000」で計算できます。

第1段階:2025年7月8日〜 座席上の収納棚に入れられなくなった

国土交通省の発表(令和7年7月1日付)により、2025年7月8日から、日本の航空会社(本邦定期航空運送事業者)を利用する場合、モバイルバッテリーを座席上の収納棚に収納できなくなりました。機内では常に目視・確認できる座席ポケットなどで保管する必要があります。背景には2025年1月に韓国・金海空港で起きた事故があるとされています。 出典:国土交通省プレスリリース

第2段階:2026年4月24日〜 1人2個まで・機内充電も禁止

さらにICAO(国際民間航空機関)の国際基準緊急改訂を受け、国土交通省の告示改正により2026年4月24日から、以下のルールが追加されました(本記事執筆時点の2026年7月19日で、すでに施行中です)。

  1. 機内持ち込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで
  2. 機内でモバイルバッテリー自体への充電は禁止(機内電源からの充電不可)
  3. 機内でモバイルバッテリーから他の機器への充電も禁止

個数の内訳は次のとおりです。

組み合わせ可否
100Wh以下×2個
100Wh超〜160Wh以下×2個不可
100Wh超〜160Wh以下×1個+100Wh以下×1個
100Wh超〜160Wh以下×1個のみ
100Wh以下のみ2個まで可

「預け入れ禁止」「160Wh上限」「個々の保護(ショート防止)」「2個までの個数制限」「機内充電禁止」に違反すると、航空法により罰則が科される可能性があるとされています(「他機器への充電をしない」の項目は罰則対象外)。 出典:国土交通省プレスリリース(令和8年4月14日、PDF) / JAL案内ページ / ANA案内ページ

なお、一部の比較サイトでは「2027年1月以降はIATA基準で100Whまでに制限される」との記載も見られますが、本記事執筆時点で国交省・IATAの一次資料では確認できていません。今後の動向として参考程度にとどめてください。

選び方の基準

1. まずPSEマークを確認する

モバイルバッテリーは電気用品安全法の規制対象で、2019年2月1日から、PSE基準に適合しない製品は販売できなくなりました。規制導入の背景は、過熱・発火による火災事故の増加です。PSEマークに加えて、届出事業者名・定格電圧・定格容量の表示も義務付けられています。購入時はパッケージや商品ページにPSEマークの記載があるかを必ず確認しましょう(内蔵電池のエネルギー密度が400Wh/L以上の一部製品は表示義務の対象外です)。 出典:経済産業省「モバイルバッテリーに関するFAQ」 / 国民生活センター

こうしたリチウムイオン電池製品に共通する安全な選び方は、ハンディファンの比較記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

2. 容量帯は用途から逆算する

容量帯目安の用途
10,000mAh前後通勤・通学など1日の外出で扱いやすい定番容量
20,000mAh前後旅行・出張、複数台・複数回の充電まで想定する場合の候補。重量は増える

※実際に「スマホ何回分」充電できるかは機種やバッテリー効率によって変動するため、本記事では目安表現にとどめています。

3. 出力(PD対応)は充電したい機器から選ぶ

PD(USB Power Delivery)はUSB-C経由で高出力・可変電圧の急速充電を可能にする規格です。目安として、スマホの急速充電なら18〜20W程度ノートPCへの充電も視野に入れるなら45〜60W以上に対応したモデルを選ぶとよいでしょう。ただし、モバイルバッテリー側がPD対応でも、充電される機器がPD対応でなければ急速充電の恩恵は得られません。

比較表:主要5機種の違い

各社公式サイト・プレスリリースの情報をもとにしています。価格は変動するため、購入前に必ず販売ページでご確認ください。

製品容量出力(最大)重量価格目安(税込)
Anker PowerCore Essential 20000 PD 20W(A1287)20,000mAhUSB-C最大20W(PD対応)約346g7,790円(Anker公式)
CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS20,000mAh単ポート最大67W要確認10,980円(メーカー希望小売価格)
CIO SMARTCOBY Pro SLIM SS10,000mAh単ポート最大35W要確認6,280円(メーカー希望小売価格)
エレコム DE-C28-10000BK10,000mAh合計20W(USB-C×1+USB-A×1)約233g5,280円(エレコム公式楽天)
Belkin BOOST↑CHARGE 3ポート 10000mAh(BPB011)10,000mAh(37Wh)合計最大15W(USB-C:5V/3A、USB-A:5V/2.4A)約220g2,390円(Belkin公式楽天)

それぞれの特徴とおすすめな人

① Anker PowerCore Essential 20000 PD 20W(A1287)|大容量×信頼できるサポート体制

モバイルバッテリーの定番ブランドとして人気の高いAnkerの現行20,000mAhモデル。USB-C最大20WのPD急速充電に対応し、重量は約346g、実売価格は7,790円(Anker公式)です。旅行や出張でスマホを複数回・複数台充電したい場面に向いています。

Ankerは2025年10月にモバイルバッテリー含む製品の自主回収を発表していますが、これは特定の型番(PowerCore 10000/A1263)が対象で、経済産業省への届け出や公式サイトでの告知など、大手ならではの誠実な対応が取られています(詳しくは後述の「注意点」を参照)。手元の製品を使う際は、型番・シリアルナンバーをAnker公式サポートページで確認しておくと安心です。

こんな人におすすめ:

  • 旅行や出張で、スマホやタブレットを複数回充電したい人
  • リコール時の対応履歴も含め、サポート体制が明確なメーカーを選びたい人

PD 20W版(A1287)の詳細はAnker公式サイトで確認できます。なお、USB-Cの急速充電(PD)が不要なら、PD非対応の兄弟モデル「PowerCore Essential 20000」(PowerIQ・2ポート)が5,000円前後とかなり手頃です。「充電速度よりも大容量を安く」という人はこちらで十分カバーできます。

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② CIO SMARTCOBY TRIO 67W SS|20,000mAh×67Wでノートpcもカバー

CIOは充電器・モバイルバッテリーなど充電関連製品を中心に展開する国内ブランドです。SMARTCOBY TRIO 67W SSは20,000mAhの大容量に加えて単ポート最大67Wの高出力に対応しており、スマホだけでなく軽量ノートPCの充電まで視野に入れられるのが特徴です。価格は10,980円(税込・メーカー希望小売価格)。

こんな人におすすめ:

  • 大容量に加えて、ノートPCなど出力の大きい機器も充電したい人
  • 出張時にスマホ・タブレット・PCをまとめて1台でカバーしたい人

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③ CIO SMARTCOBY Pro SLIM SS|10,000mAhの薄型モデル

同じCIOの10,000mAhラインで、単ポート最大35W出力に対応するモデルです。価格は6,280円(税込・メーカー希望小売価格)。TRIO 67W SSより容量を抑えたぶん携帯性を重視したい人向けで、日常の通勤・通学用途に扱いやすい容量帯です。

こんな人におすすめ:

  • 荷物を増やしたくないが、それなりの出力も確保したい人
  • CIOブランドで容量違いを選びたい人

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④ エレコム DE-C28-10000BK|PSE適合表記が分かりやすいコスパモデル

PC周辺機器で実績のあるエレコムの10,000mAhモデル。USB-C×1とUSB-A×1をあわせて合計20Wで出力し、重量は約233gです。商品ページにPSE適合の表記が明記されているのも安心材料で、実勢価格は2,000〜3,000円台とされています(価格は変動するため購入時にご確認ください)。

こんな人におすすめ:

  • 価格を抑えつつ、PSE表記など安全性の裏付けも確認したい人
  • 日常使いの2台目・予備用として気軽に持てるものが欲しい人

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⑤ Belkin BOOST↑CHARGE 3ポート 10000mAh(BPB011)|軽量×3ポートの使い勝手

海外の周辺機器メーカーBelkinの10,000mAh(37Wh)モデル。USB-CとUSB-Aをあわせて合計最大15Wの出力に対応し、重量は約220gと今回比較した中でも軽量な部類です。商品ページにPSE表記があり、価格は2,390円(Belkin公式楽天ストア・2026年7月19日時点)と2,000円台前半。メーカー保証2年が付くのもこの価格帯では貴重です。

こんな人におすすめ:

  • とにかく軽さを重視したい人
  • USB-A機器も含めて複数ポートを使い分けたい人

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購入前の注意点

  1. リチウムイオン電池の事故は夏場に集中する — NITEは2025年6月26日の注意喚起で、2020〜2024年度の5年間にリチウムイオン電池搭載製品(モバイルバッテリー含む)の事故が計1,860件発生し、うち約85%(1,587件)が火災に発展したこと、事故は気温上昇とともに6〜8月にピークを迎えることを報告しています。火災を防ぐポイントの1つ目に「正しく購入する(信頼できるメーカー・販売店から入手する)」を挙げています。

出典:NITE「夏バテ(夏のバッテリー)にご用心」

  1. 消費者庁も公共交通機関でのルール順守を呼びかけ — 消費者庁・総務省消防庁・経済産業省・環境省による共同発表(令和7年10月2日付)では、強い衝撃・圧力を避ける、高温での使用・保管を避ける、安全な場所で充電する、異常時は使用を中止する、発火時は大量の水で消火する、製品情報・リコール情報を確認する、公共交通機関でのルールを守る、という7つの注意点が示されています。

出典:消費者庁ほか共同News Release(PDF)

  1. 大手メーカーでもリコールは起こりうる。だからこそ確認を — 2025年10月21日、アンカー・ジャパンは経済産業省への届け出のうえ、Anker PowerCore 10000(型番A1263、対象品番A1263016/A1263N12/A1263036/A1263096)を含む4製品を自主回収しました。原因は電池セル製造委託先の工程での異物混入による内部短絡リスクで、対象台数は41万124台(経産省発表ベース)で、白色モデルのA1263N22・A1263026は対象外です。2026年5月には対象製品が原因とみられる火災事故が2件発生したことを、消費者庁が2026年7月3日付で公開しています。

重要なのは、これが「Ankerだから危ない」という話ではなく、大手だからこそ経産省への届け出・公式サイトでの告知・対象品番の公開という一連の対応が取られたという点です。ノーブランド品では、そもそもこうした回収ルート自体が存在しないケースも珍しくありません。手元のAnker製品が対象かどうかは、必ずAnker公式サポートページでシリアルナンバーを確認してください。 出典:経済産業省 製品安全ページ / 経産省リコール実施お知らせ(PDF) / アンカー・ジャパン公式

  1. 飛行機を利用する予定があるなら容量(Wh)を必ず確認 — 前述のとおり、2026年4月24日から機内持ち込みは2個まで・機内充電禁止のルールが適用されています。頻繁に出張・旅行をする人は、160Whを超えない容量のモデルを選ぶと安心です。

まとめ:PSEマーク・信頼できるメーカー・機内ルールの3点で選ぶ

モバイルバッテリー選びで失敗しないためのポイントは、①PSEマークなど安全性の裏付けがあるか、②NITE・消費者庁が呼びかけるとおり信頼できるメーカー・正規販売店から買うか、③2026年4月24日からの機内持ち込み新ルール(2個まで・機内充電禁止)に自分の使い方が合っているか、の3点です。

大容量で旅行・出張向けならAnker PowerCore Essential 20000、高出力でノートPCもカバーしたいならCIO SMARTCOBY TRIO 67W SS、日常使いの定番容量ならCIO SMARTCOBY Pro SLIM SSやエレコム DE-C28-10000BK、軽さ重視ならBelkin BOOST↑CHARGEというように、「何を優先するか」で選ぶモデルは変わります。ノーブランドの激安品に飛びつく前に、この記事の比較表を参考に自分の使い方に合う1台を選んでみてください。

外出時のガジェット選びという意味では、スマートウォッチの比較記事もあわせて参考にどうぞ。

※2026年7月19日時点の情報。価格・ルールは変更される場合があります