就職活動でAIを使ったことのある学生は、いま84.9%です。もはや「使うかどうか」を議論する段階ではありません。
では何で差がつくのか。答えは使い方です。同じマイナビの調査で、企業の84.8%が学生のAI活用に肯定的と答えている一方、36.2%の企業が「面接での質問内容を工夫する」、15.4%が「エントリーシートの内容を精査する」と回答しています。歓迎されているのに、対策もされている——この二重構造を理解しないまま使うと、落ちます。
この記事では、ES作成に特化した2つのAIツール「ESの達人(ワンキャリア)」と「SmartES」を公式情報で比較したうえで、マイナビの最新調査データをもとに「AIで書いたESはなぜ見抜かれるのか」「どう書けば通るのか」を具体的に解説します。
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3行でわかる結論
- AI利用は当たり前になった。 学生の84.9%が利用し、用途の最多は「ESの推敲」71.8%
- 企業も歓迎している。 84.8%が肯定的で、否定的な企業は9.0%まで減った
- ただし丸投げは見抜かれる。 企業はESの不自然な記述を精査し、面接で深掘りする体制に移っている
データで見る:AIは「使う前提」で設計されている
まず、いま何が起きているかを数字で押さえます。以下はすべてマイナビの2027年卒調査(2026年4月実施・有効回答1,258名)の結果です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 就職活動でAIを利用したことがある | 84.9% |
| 利用方法の最多「ESの推敲」 | 71.8% |
| 「面接対策」での利用 | 38.4%(大幅増) |
| 利用理由の最多「作業時間の短縮」 | 54.3% |
| 「自分だけの考えで決めるのは不安だから」 | 28.8% |
利用率は調査開始の2024年卒以来、増え続けています。注目すべきは、用途がES作成そのものより「推敲」に寄っていることです。ゼロから書かせるのではなく、自分で書いたものを直させる使い方が主流になっています。
そしてES提出の実態はこうです(2027年卒・5月調査、有効回答1,841名)。
- ES提出経験がある学生:95.3%
- 平均提出数:13.7社/平均通過率:61.4%
- 記載したエピソードの最多は「学業・研究について」75.6%
13.7社に出して、通るのは約8社。 4割は落ちている計算です。ここを1社でも増やすことが、ES対策の実利になります。
企業はどう見ているか:歓迎、ただし対策済み
ここが本記事でいちばん重要なパートです。多くの就活生が「AIを使ったらバレて落とされる」と恐れていますが、実態は逆です。
マイナビの2027年卒 企業新卒採用活動調査(2026年7月22日公表)によれば、学生が就職活動で生成AIを活用することについて、企業の回答はこうなっています。
| 企業の回答 | 割合 |
|---|---|
| 使い方を慎重に検討したうえで活用してほしい | 76.6% |
| 積極的に活用してほしい | 8.2% |
| 肯定的(合計) | 84.8% |
| 就職活動には利用しない方がよい | 9.0% |
「AIを使うべきでない」と考える企業は9.0%まで減り、初めて2桁を割りました。 つまり、AIを使ったこと自体は、もう減点材料ではありません。
ただし、同じ調査には続きがあります。学生のAI利用に対して企業が検討している対応は、次のとおりです。
| 企業の対応 | 割合 |
|---|---|
| 面接での質問内容を工夫する(ESとは異なる質問をする・深掘り質問をする等) | 36.2% |
| エントリーシートの内容を精査する(不自然な記述に注視する・異なる学生で似た記述がないか) | 15.4% |
どちらも年々増加しています。とくに2つ目の括弧書きに注目してください。企業は「異なる学生で似た記述がないか」を見ています。 同じツールに同じような入力をすれば、当然、似た文章が出ます。それが並んだときに何が起きるかは、想像がつくはずです。
学生側も、この問題には気づいています。同じマイナビ調査で「ESは必要ではない」と答えた学生の理由の最多は、「AIの活用により文章が均質化しやすく、見極めが難しくなるから」66.3% でした。
歓迎されているのは「AIを使うこと」であって、「AIに書かせたものをそのまま出すこと」ではない。 ここを取り違えないでください。
比較表:ESの達人 vs SmartES
ES作成に特化した代表的な2ツールを比較します。料金・仕様は変動するため、利用前に必ず各公式サイトでご確認ください。
| 観点 | ESの達人(ワンキャリア) | SmartES |
|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社ワンキャリア | 株式会社SHiRO |
| 公式URL | onecareer.jp/chats | smartes.kokoshiro.jp |
| 学習データ | ワンキャリア掲載のESデータ(2023年のリリース時点で約15万件)+ ChatGPT API | 「選考通過ES」約10万件を学習(運営発表) |
| 主な生成機能 | ガクチカ(学生時代頑張ったこと)の作成に特化 | 自己PR・ガクチカ生成、志望動機生成、AI添削 |
| 志望動機生成 | 限定的(ガクチカ中心) | 企業の採用ページURLを解析して生成 |
| 利用条件 | ワンキャリアの会員登録+利用規約への同意 | LINEまたはGoogleで会員登録 |
| 無料枠 | 会員なら無料で利用可 | 無料。ただし回数制限あり(登録時に要確認) |
| 求人連携 | あり(作成後そのままインターン等へ応募可) | なし(ES作成・添削に特化) |
同じ「ES特化AI」でも、ESの達人は"応募までの初速"、SmartESは"文章の質" と、強みの方向がはっきり分かれます。
①ESの達人(ワンキャリア)|ガクチカを作って、そのまま応募
就活情報サイト大手の株式会社ワンキャリアが提供するAI機能です。2023年5月にβ版がリリースされ、公開から約1ヶ月で利用者10,000人を突破しました。
公式ページの説明はシンプルで、「ESに入れたい内容を選択していくだけで、あなたに合わせた『学生時代頑張ったこと』を作成します」というもの。ガクチカ1本に絞り込んだ設計です。作成後はワンキャリア掲載のインターン等にそのまま応募できるため、就活初期の「まず打席に立つ」局面に向いています。
一方で、利用規約に書かれている注意点は、正直かなり重い内容です。公式ページに掲載されている同意事項から抜き出します。
- 入力したテキストがOpenAI社に送信されることがある(ワンキャリアに登録した氏名・メールアドレス・志望業界は送信されないが、対話中に自分で入力すれば送信され得る)
- 作成したESの内容を、ワンキャリアおよび同社が許諾した第三者が無償で利用できる(解析・複製・公衆送信・修正編集・再許諾を含む)
- 予告なく、サービスの全部または一部が停止・終了する可能性があると明記されている
とくに2つ目は見落とされがちです。自分が書いたESが、第三者のサービス提供の範囲で使われ得ることに同意したうえで使う仕組みになっています。機微な内容を書かない、という判断は各自で必要です。
向いている人:就活初期にまず応募数を確保したい人/ワンキャリアの求人と一体でガクチカ作成から応募まで済ませたい人
②SmartES|通過ESを学習、企業URLから志望動機を生成
株式会社SHiROが運営するES作成AIです。公式サイトは smartes.kokoshiro.jp で、LINEまたはGoogleアカウントで登録して使います。
このツールの特徴は学習データにあります。運営の発表によれば、実際に企業の書類選考を通過したES約10万件を学習に使用しているとのことで、ES特化の出力に寄せた設計です。
主な機能は3つです。
- 自己PR・ガクチカ生成 — 箇条書きの入力から文章を生成
- 志望動機生成 — 応募企業の採用ページ等のURLを入力すると、企業情報を解析して志望動機を作成(他ツールにない独自機能)
- AI添削 — 修正箇所の指摘や表現の言い換え提案
無料で使えますが、回数制限があります。紹介記事では「初回登録で合算5回、その後は毎日3回まで」とされていますが、公式サイトはログイン後に条件が表示される仕組みのため、当サイトでは回数を確認できていません。登録時にご自身で必ずご確認ください。
なお、新卒ESに特化しているため、中途採用の職務経歴書には対応していません。また、登録後に運営から就活状況の確認やキャリア支援の案内が届く場合があります。
向いている人:第一志望群の志望動機・自己PRの質を上げたい人/企業ごとに刺さる志望動機を効率よく作りたい人
特化型ツール vs 汎用AI(ChatGPT・Claude・Gemini)
「ChatGPTでいいのでは」という疑問はもっともです。実際、汎用AIでもESは書けます。違いは就活データを学習しているかどうかだけです。
- ESの型に寄せたい/手間をかけたくない → ES特化型(ESの達人・SmartES)
- 自己分析の壁打ち・言い換えの幅・面接想定問答まで → 汎用AI(ChatGPT・Claude・Gemini)
両者は競合ではなく補完関係です。汎用AIで自己分析とエピソードの棚卸しをして素材を作り、特化型ツールでES本文の型を整える、という流れが現実的でしょう。汎用AI各種の料金や特徴はAI文章作成ツール比較にまとめています。複数のAIの回答を並べて比べたい場合は、天秤AI byGMOのような同時比較サービスを無料枠で使う手もあります。
【重要】AIで書いたESは、なぜ見抜かれるのか
ここまでのデータを踏まえて、核心に入ります。結論はこうです。
AI検出ツールで機械的に落とされることはほぼない。しかし、企業は「不自然な記述」と「他の学生との類似」を精査し、面接での深掘りで検証している。
前述のとおり、企業の36.2%が「面接での質問内容を工夫する(ESとは異なる質問・深掘り質問)」、15.4%が「ESの内容を精査する」と回答しています。これはAI検出ソフトによる自動判定ではなく、人間による運用です。
AIに丸投げしたESが崩れるのには、次の3つの構造的な欠陥があります。
1. 定型パターンの既視感 「〜を通じて」「貴社の成長性とビジョンに共感し」といった表現が並びます。何百通と読む採用担当は「またこれか」と一瞬で気づきます。しかも企業は「異なる学生で似た記述がないか」を明示的に見ています。
2. 非のうちどころのない抽象美文 文章はきれいでも、具体的な店舗名・役職・生々しい葛藤が削ぎ落とされています。減点はされませんが、記憶にも残りません。ESの評価基準として学生自身が最多に挙げたのは「学生の価値観が企業の文化に合っているか」(56.0%)ですが、抽象美文からは価値観が読み取れません。
3. 面接の深掘りに耐えられない 実体験を伴わない借り物のストーリーは、「なぜ?」「具体的には?」で崩壊します。ESが必要だと考える学生の48.5%が「企業が面接で深掘りする材料にするため」と答えているとおり、ESは面接の台本です。台本に書いていないことは、本番で話せません。
分かれ目は「AIを使ったか」ではなく、「自分の実体験が入っているか」です。
通過するAI活用術:Before/After実例と提出前チェック3項目
やるべきことは、役割分担です。
文章の骨組み(PREP法など)はAIに任せ、中身(ファクト・数値・固有の感情)は自分で肉付けする。
ガクチカの実例で見てみましょう。
Before(AIに丸投げした例)
私が学生時代に力を入れたのは、アルバイトでのチームワークです。飲食店のアルバイトでスタッフ間の連携を意識し、お客様により良いサービスを提供できるよう努めました。その結果、お店の評価が向上し、私自身もコミュニケーション能力を高めることができました。
一見きれいですが、すべて他人に置き換え可能です。数値も曖昧で、葛藤もなく、深掘りされたら答えに詰まります。そして何より、同じツールを使った他の学生も似た文章を出してきます。
After(事実と感情を入れた例)
居酒屋のホールで、ピーク時の提供遅れに悩みました。お客様に「遅い」と叱られて悔しく、原因を紙に書き出すと、注文と厨房の連携が断絶していると気づきました。そこでホワイトボードに「注文→調理→提供」の進捗を貼る仕組みを提案。先輩に反対されつつも1週間試すと、提供時間が平均12分から7分に短縮し、クレームも月8件から2件に減りました。
具体的なファクト・強い数値・心理的な葛藤が入りました。これなら面接で深掘りされても解像度高く答えられます。骨組みはAIに作らせつつ、この肉付けを自分で担うわけです。
提出前に、次の3項目を確認してください。
- このエピソードを、手元原稿なしで面接官に5分間話し続けられるか
- 志望企業固有のキーワードと、独自の選択理由が入っているか(他社にそのままコピペできる汎用文になっていないか)
- AIが削りがちな"泥臭い失敗・葛藤"をあえて残しているか
この3つをクリアできれば、そのESは「AIで書いたかどうか」ではなく「あなたにしか書けない内容か」で評価される段階に入っています。
手元に1冊置いておきたい参考書
AIは「型」を出してはくれますが、そもそもどんなエピソードを選ぶべきか、どこまで書けば通るのかという判断基準は与えてくれません。通過実績のある実例が載った本を1冊持っておくと、AIの出力を評価する物差しになります。
内定者の実際のES例が大量に載っている定番です。表紙に「AI選考」「最新AI活用法」とあるとおり、2028年度版はAI時代を前提に改訂されています。AIの出力と見比べる"正解例"として使えます。
シリーズ累計170万部の定番。AIに渡す「素材」を自分の中から掘り出す工程に強く、丸投げを防ぐという意味でこの記事の主旨と相性がいい1冊です。
ES単体ではなく、就活全体の流れを最初に把握したい人向け。まだ何から手をつけるか決まっていない段階なら、こちらから入るのが早道です。

よくある質問
AIで書いたESは採用担当にバレますか?
AI検出ツールで機械的に落とされることはほぼありません。マイナビの2027年卒 企業新卒採用活動調査では、学生の生成AI活用について84.8%の企業が肯定的で、「利用しない方がよい」は9.0%にとどまりました。ただし36.2%の企業が「面接での質問内容を工夫する(ESとは異なる質問・深掘り質問)」、15.4%が「ESの内容を精査する(不自然な記述、異なる学生で似た記述がないか)」と回答しており、丸投げは人の目と面接で検証されます。
ESの達人とSmartESはどちらを使えばよいですか?
就活初期にまず応募数を確保したい、ワンキャリアの求人と一体で使いたいならESの達人。第一志望群の志望動機や自己PRの質を上げたいならSmartESが向きます。ESの達人はガクチカ作成に特化し、SmartESは企業の採用ページURLを解析した志望動機生成という独自機能を持ちます。どちらも無料で試せるため、併用も選択肢です。
ESの達人を使うときに注意すべきことはありますか?
公式ページの同意事項に、入力テキストがOpenAI社に送信される場合があること、作成したESの内容をワンキャリアおよび同社が許諾した第三者が無償で利用できること(解析・複製・公衆送信・修正編集を含む)、予告なくサービスが停止・終了する可能性があることが明記されています。利用自体は無料ですが、これらに同意したうえで使う仕組みなので、機微な内容の入力は避けるのが無難です。
ESは平均で何社くらい出すものですか?
マイナビの2027年卒調査では、ESの提出経験がある学生は95.3%、平均提出数は13.7社、平均通過率は61.4%でした。文系女子の提出数が最も多く平均15.7社です。13.7社出して約8社通る計算になるため、通過率を数ポイント上げるだけでも選考機会は増えます。
汎用のChatGPTやClaudeとの使い分けは?
ESの型や通過パターンに寄せたい場合はES特化型、自己分析の壁打ちや言い換えの幅、面接想定問答まで幅広く使いたい場合は汎用AIが向きます。両者は補完関係で、汎用AIで自己分析とエピソードの棚卸しをして素材を作り、特化型ツールでES本文の型を整える流れが現実的です。
まとめ:AIは「型」、あなたは「中身」
- AI利用はもう前提。 学生の84.9%が利用し、最多の用途は「ESの推敲」71.8%
- 企業も歓迎している。 84.8%が肯定的で、否定的な企業は9.0%まで減少
- ただし対策もされている。 36.2%が面接の質問を工夫し、15.4%がESの記述を精査している
- ツールは目的で選ぶ。 応募の初速ならESの達人、志望動機の質ならSmartES
- ESの達人は規約を読んでから。 作成したESを第三者が無償利用できる条項がある
AIを使うことは、もう誰も咎めません。咎められるのは、中身のないものを出すことです。骨組みはAIに任せていい。ただし、ファクト・数値・そのとき自分が何を感じたかという"厚み"だけは、自分の手で入れてください。それが結局、他の学生と似た文章にならない唯一の方法です。
※本記事のサービス内容・料金・仕様は2026年7月29日時点の情報です。変更される場合があるため、利用前に必ず各公式サイトで最新情報をご確認ください。また、AIが生成した文章はそのまま提出せず、必ず自分の実体験と言葉で編集・加筆したうえで使用してください。
出典